和竿とは釣り竿の一種で日本独自の製法で竹を用いて作られた物です。 和竿の歴史は江戸時代に遡る事ができ、中期にその形態は完成し江戸和竿とも呼ばれています。 江戸和竿が作られ始めた正確な時期は判明していませんが1723年に書かれた日本初の釣りの解説書である何羨録には既に継ぎ竿の選び方について書かれており、少なくともその時から竹をいくつか組み合わせた継ぎ竿が作られていたことは明らかとなっています。 18世紀末に蕨屋利右衛門が継ぎ竿の技術を発展させ上野広徳寺前の東作がその竿を真似て竿を作り評判になりました。 その後に東作の弟子の釣り音が竿忠、竿冶、竿辰などを作りさらなる発展を遂げました。

しかし需要のピークは昭和初期から戦後間もなくまでで、戦後は進駐軍のために土産物用の西洋風の竿を生産する竿師も多くみられました。 現在はカーボン竿やグラス竿などが多く使われるようになったためさらに需要が減少し、多くの竿師が廃業に追い込まれ、後継者不足から技術の喪失が心配されており江戸和竿の歴史と伝統を継承し続けている現在の和竿師は二十四名です。 和竿の種類は江戸和竿以外にも川で用いるたなご竿や手長えび竿、渓流で用いる山女魚竿や岩魚竿など様々です。 主な材料は天然の竹であることが特徴的で使用目的によってその様々な種類のものを使い分けますが江戸和竿では、矢竹、布袋竹、淡竹、真竹、スズ竹などが竿の部分毎に使い分けられています。 竹という素材は縦に繊維が通っていていて中でも天然の竹は弾力性が優れており強い反発力を持っているので曲げられてもしなやかに戻り、魚に違和感をあたえません。また和竿の一番の魅力はあたりの感触でしょう。 竹の釣り竿ならではの微妙な感触で見極めることができ、その他の竿よりも手応え抜群の釣りを楽しむことができます。

さらに持ち運びにも便利でたなご竿が代表的なつなぎ竿は差し込み式のため継ぎ口で取り外しが可能となっておりコンパクトに収納することができます。 和竿は所々に漆の装飾が施されており、その美しさを見て楽しむこともできますが、何よりも使うことでそのよさを味わうことができる道具です。 微妙な魚のあたり、弧を描くしなり具合、継ぎ口をはめる感覚などの魅力は使った人のみが体感できるものと言えます。 これらの魅力から量産が可能な竿よりも竹を用いた竿を愛好する釣り師も少なくありません。しかし手入れや保管する際にはいくつかの注意点があります。 まず使用後は水気をよくふき取り乾燥させることが基本です。海で使用した場合は塩気もしっかりと拭き取りましょう。この時木綿の布を使うことがポイントです。 次に直射日光を避けて風通しの良い所で陰干しをし、収納する前にすげ込みにほんの少しだけ専用の植物性油を擦り込んでおくと良いでしょう。 保存場所は温度差のない通気性の良い場所が最適です。せっかくの一品ですから管理はしっかりと行い長く愛用してください。

またこの竿は伝統的な技術を用いて職人により一本一本製作されていますが自作することもできます。 江戸和竿の製作手順は10の工程に分けられ、晒し、切り組、火入れ・矯め、巻き下・糸巻き、継ぎ、塗り下、中矯め、漆塗り、胴漆、仕上げとなっており、これら全てを竿師が一つ一つ自らの手で行っています。 竿を自作する際には自分では難しい部分もあるのである程度作られたものを購入し途中から始めると良いです。 しかし前述のように一口に竿と言っても様々な種類があるので材料を購入した店で作り方の詳細を尋ねる事が一番でしょう。 漆塗りをするには塗る度に乾かす必要があるので製作には時間がかかりますが伝統的な技術に触れる貴重な体験ができることが自作する最大の魅力と言えます。